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『暗い部屋』の感想

『暗い部屋』というゲームをプレイ完了。感想を書く。ネタバレはない。

様相

『暗い部屋』は、ヴィジュアルサウンドノベルで5時間程度でプレイを終えた。読み終えた時間から推測すると、450頁程度か。これくらいの長さだと個人的にちょうどいい。ゲームは2000円という価格で、小説にしては割高だけれども、ビジュアルとBGMがあるので、価格としては安く感じた。

読後感

明確な結末が書かれていないので、もやもやとした気持ちが後に残った。

動作確認版の紹介

『暗い部屋』は、動作確認版がニコニコ動画で視聴できる。私はこの文章を見て購入を決断した。常軌を逸した状況を淡々と冷静に分析して語る主人公は、私が読んできた小説の誰とも似つかなかったため、興味が惹かれた。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm11040902

冒頭から冷静な文章の割に凄惨な状況が描き出されるため、読み手を選ぶ作品だ。動作確認版を全部視聴できない人は間違いなく読み進められない。出てくる登場人物たちは性格は普通なのだが、闇を抱えており、行動がおかしかったり、思想が独特である。

演出

演出がとても良い作品だと私は思う。

ヴィジュアルサウンドノベルという形だが、ギャルゲーのような立ち絵は存在しない。ウインドウ全体にテキストが表示され、写真をベースとしたイメージ画像が背景としてうっすらと表示される。背景には人型の影が交じるのだが、これがゆらゆらと蠢いていて気味が悪い。

BGMが本編とよく合っていたと思う。しかし、人の声のような音がうるさくて、気になった曲がいくつかあった。テキストは淡々と流水のようだが、背景とBGMで不気味さが格段に増している。いくつかのシーンで画面の前で私は固まってしまった。恐怖に竦んだ。

感想

私は、叔母さん(耀子)に拒絶と嫌悪を感じた。叔母が話すたびに私の心を爪で引っ掻くように苛々とさせた。

主人公が変わっていく様子がとても興味深かった。文章があっさりとしているため、変化を見逃しやすいが最初と最後で主人公はかなり変化している。

終始不気味な作品だった。不思議と嫌悪感をあまり抱かなかった(叔母は例外)。何度もやりたいとは思わないが、考察のための欠片がテキスト中にたくさん散りばめられている気がしたので、もう一度意を決してやりたいと思っている。

最後に

友人に勧めてみたが、作品が衝撃的な作品だけに影響がどのくらい出るのかわからない。作品に飲まれてしまうと数日くらい気分に影響が出るだろう。

メッセージ性は強くないので、「で?」と突き返されそうな気もする。